新たなテニス環境開発  Development of new tennis environment

   テニスコート上とは違った形で、さわやかなスポーツ心の存在が 各地の様々な場所や環境の中にあります・・
  
 

重度障害の人達には、スポーツ参加の機会が少ないのは、当時も今も同じです。
周囲や関係方面も理解が少ないことに起因していますが、風船バレーなど軽いゲームなどは認められても、一般的なスポーツ参加は困難と決めつけられている人達を対象にしたテニスを提案しても・・ 周囲の関係者からは・・無理です・・との回答が、連絡を差し上げた国内各地の施設からありました。 

しかし、施設職員など関係者の中には、むずかしいとは思うが・・実施してみなければ分からない! と思う人達も存在していました。 
入所している重度障害の人達を毎日サポートしながら、日々の生活を少しでも豊かになることを願っていたのでしょう。

ラケットを握ることもむずかしい重度障害の人達にも、テニスの楽しさに接する機会を考えてみようとした関係者との出会いが各地で実現したことは幸いでした。
テニスを既存のカタチとは異なる別な切り口で開発を進めたユニバーサルテニスは、さわやかなスポーツ心を様々な環境の中で発掘することを可能にしました。

重度障害の人達も参加出来るテニスプログラムを開発し 身体障害者療護施設の峰岡園(千葉県鴨川)を訪ね、年6〜8回の定期指導活動を進めました。
訪問のきっかけは、脊髄損傷の障害で施設の中で生活していた青年からの手紙でした。
この施設訪問は1989年 〜1997年まで 一時中断した期間も含まれますが、テニスの楽しみ方を紹介する活動は継続しました。


定期的に訪問した施設に加えて、1994年 〜1995年の間、国内各地の身体障害者療護施設を訪問して スポンジテニス講習を 実施しました。
訪問地域は、新潟、長野、兵庫、福井、北海道、千葉、高知、鹿児島、埼玉などの11施設、沖縄方面施設は1999年に訪問しました。

1997年には、大分県内の身体障害者療護施設に加えて、知的障害の施設と高齢者施設を訪問、沖縄では、虐待から避難保護施設の児童達を訪ねました。
施設の子供達は、最初は知らない人達の訪問に警戒感がありましたが、スポンジテニス練習を続ける中で、次第に笑顔が増えていったことは嬉しいことでした。


   

お訪ねした施設の関係者から、このスポーツ紹介について 感想をお寄せいただきました。

 
 ハンディキャップテニスのラリーから得られるもの・・・              身体障害者療護施設 寮父  永井広雄さん

私達の施設では、ハンディキャップテニスを知るまでスポーツらしいものはほとんど行っていませんでした。 実際、介助する側も入所者の側も、ボールを打ち返すこと、ましてやゲームでラリーをするなどは夢にも思っていませんでした。

ところが、ボランティアの丁寧で根気強い指導と、手の使えない人には足に、また、腕力のない人には卓球のラケットを手に結びつけるなど、指導する人達と試行錯誤をしながら続けたところ、なんと 10回に1回は 目の覚めるようなラリーが続けられるようになったのです。


そうなると入所者の方も真剣ですが、それ以上に介助者は手が抜けません。
車椅子を押したり、相手の打ちやすいところにボールを落としたり、打ったり、目の回るような思いです。
 ・・ですが・・ 実際のところ、ラリーができるのは 2、3人です。

脳性麻痺の方やリュウマチの方などはラケットを振れず、ラケットにボールを当てて感触を楽しむしかない方や、試合を見て応援するだけの人、ボールがうまく打てなくて、「つまらない」 と言って部屋に戻ってしまう人もいます。

しかし、スポーツをしている時のみなさんの笑い顔は他にないものがあります。 また、スポーツを通して自分への可能性を感じているようにも私には思えます。
ハンディキャップテニスでのラリーの時の心遣いや楽しさを忘れず、たくさんの障害者の方々との真剣で笑い声のあるコミニュケーションを 多くのみなさんといつまでも続けて行けたら、きっとすばらしい感動があると 私は信じています。
 


  スポンジテニスは 障害のある人達が スポーツに親しむ窓口として 「すぐれもの」 です   身体障害者療護施設 職員  浜野直紀さん

週に一度のスポーツの時間、たくさんのボールをカゴに入れ、職員と園生とのテニスが始まる。 やわらかいスポンジボール、一般のものより柄の短いラケット、そのラケットをある園生は包帯で巻きつけ、ボールを追いかける。

何度ボールがきても 空振りを繰り返す園生、ボールに当てることが彼女にとってスポーツだ。 うまく打ち返す者も、当てることに全勢力を傾ける者も、一様に充実した表情をしている。 どちらかというと、ネガティブになり勝ちな園生が、唯一アクティブになれる時間といえる。

最近、車椅子バスケット、車椅子テニスなど障害者のスポーツが注目されているが、どれを見ても身近なものとはほど遠い。 バスケットができる体育館やテニスのできるテニスコートをもつ園(施設)は少ない。 ましてや、そうしたスポーツを 障害の重い人達に指導するインストラクターなどは、ほとんど知らない。

食堂でも、ちょっとした空き地でも手軽にはじめられるスポンジテニスは、障害のある人達がスポーツに親しむ窓口としては 「すぐれもの」 といえるだろう。
その普及に全力投入している人達を 心から応援したい。


複合障害(数種類の障害)の人達がおります。 
ラケットをタイミングよく動かすことができない人達が 弱視の障害もあって ボールが視界から外れて 苦労する人達がいます。肢体不自由と内部障害を合わせもつ人達もいます。

しかし、スーパーテニスの内容は こうした人達も テニス参加の楽しさを実感できる空間を生み出すことが出来ます。
複合障害のハンディを超えて練習し、上手に打球できたときに素敵な笑顔を見せる人達に出会いました。

発声機能にも障害のある彼女は 周囲の人達と会話するときには特製ボードを使用します。 文字を指差して自分の意志を周囲に伝えていました。 特製ボードは施設職員の手作りです。 施設の中に見た優しさのひとつです。
   
障害の重い人達の多い療護施設には 車椅子使用の人達が数多くおります。 一方、杖を使用する人達や歩行器を用いる人達もいます。

障害の存在は ひとりひとりの個性を生み出します。 その個性を 個人のスタイルと考え 残存機能を最大に活かす工夫によって、テニス交流が生まれます。
ラケットを足首に固定して打球を楽しむことができます。
電動車椅子でなく 車椅子の移動補助する人達を人動(?)エンジンとする競技規定で ゲーム参加も可能になります。

障害のある人の動かし易い足の方向を考え、タオルと伸縮包帯などでしっかり固定することが大切です。 この方法で ネットを越えた打球に 周囲から拍手が湧き上がる楽しいスポーツ空間です。
テニスの練習を楽しむ人達が増えるとネットセットが不足することもありますが、椅子を並べて即製ネットとして楽しめます。 費用負担を最小限に、プレーのできる空間を増やして下さい。

お訪ねした国内数十ケ所の施設の練習場所は 食堂のフロアです。 スポンジボールの安全性と特徴は、幅のある通路でも楽しめます。


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