競技研究開発(1) ハンディ 硬式テニス規定 と 競技設計 の紹介

 
 ハンディキャップテニスの内容を 身障者テニスや障害者テニス(※身体障害以外も含む)の代名詞と考えている人達がいます。
 また、障害のある人達や高齢者、子供達を 弱者 と考えている人達がいます。 視点によっては、社会生活上の 弱者 と見なされる一面はありますが、
 
ハンディキャップテニスの競技開発では、弱者 という 位置づけではありません。 
 力の足りない人達に対して いくつかの競技工夫を提供し、競技環境を整えると・・ テニス経験豊かな人達の 良きスポーツライバルにも なります。
  
 テニスの面白さを楽しみたいと希望している人達がいます。 しかし、体力不足などで 楽しめない人達が数多くおります。
 こうした点を改善するために、既存のテニス規定にこだわらず、誰でもテニス参加を楽しめるように競技設計したのが ハンディ 硬式テニス規定 です
 この新たな競技開発は、テニスの本流である硬式テニスの内容を尊重した上で、テニスの魅力を より多くの人達に伝えようとするものです。
 
 ここに ハンディキャップテニス競技規定の一部について 競技設計された内容を 紹介します
  コート規定について

 コート規定 第2項に設定しています 運動機能障害や体力面の内容に応じた特設コートとは ・・

   (イ)硬式テニス競技コートを基準にして、硬式コートのベースライン(コートの横方向)の長さを縮小したコートHT−M を設定。
      コートHT−M は、ベースラインの長さを723cm、他のライン規定は硬式テニスの内容に準じるものとします。
      ※運動機能障害や体力不足の人達が 参加出来るテニス競技の企画には有効です。

   (ロ)スポンジボールを使用した競技コートは、バドミントンコートと同じ外形サイズを採用したコート。
      コートHT−S は、縦1,340cm、横610cm です。
      ※近年、このコート名称については サウンドテニス 並びに、S・ST の各競技内容に沿って改称されています。

(イ) この競技設定は、競技力や体力の少ない人達が左右の方向に俊敏に動いて打球する動作がむずかしい状況を観察して規定したもので、
    テニス経験豊かな人達と同じに テニスの面白さを 十分に味わうことが出来るように設計されています。

    下肢に運動機能障害のあるプレイヤーの競技方法として、海外から紹介された車椅子テニス競技に導入されている2バウンド後の打球までを
    有効とする規定を採用しています。 しかし、この規定では ストレート方向の運動能力不足を補うことには有効ですが、クロス方向の打球に追いつくには
    不十分です。 このため競技コートの幅(ベースライン幅)を縮小したコートHT−Mを設定しています。

(ロ) 体力不足や運動機能レベルの内容によって、硬式テニスの球速や打球の圧力に対して、対応の難しい人達がおります。
    このため、(イ)のコートHT−M の競技方法ではなく、軽量のスポンジボールを使用したコートHT−Sコートを設定しています
  ボール規定について

 このボール規定 第2項に、競技内容によってスポンジ製の軽量ボールを使用するものとしています ・・
 当時(1991年)、ハンディキャップテニスルールブック第2版を発行したとき、軽量ボールは、A、B、Sの3種類としていました。

    軽量ボールAは 通常の硬式ボールと同種類のメルトン外皮構造で、直径6,5〜9,0cm 重さ40,0〜42,0gのサイズ
    軽量ボールBは スポンジ製で、直径7,0〜8,0cm 重さ14,0〜16,0gのサイズ
    軽量ボールSは スポンジ製で、ボール内部にバウンドした際に音の発生する部品を挿入した特製ボールで
            直径8,0〜9,0cm 重さ28,0〜32,0gのサイズ

  ※ボールの直径、重さには硬式テニスを含めて許容幅があります。
   表記の数値は 当時、市販されていた各メーカーの製品が統一されていなかったことが理由です。
   この点は、近年の公式競技球として認定されています硬式テニスボールも製造上の問題などで、直径、重さ共に許容範囲が設けられています。

  ※初期の競技設定から20数年を経過した現在まで、各メーカーから発売される製品サイズの変更に伴い、数回の競技規定の改定が行われており、
   軽量ボールAは規定から除かれ、スポンジ製のボールについては次の2種類が競技ボールとして認定しています。

  ※なお、練習や講習会場等での耐久性など実用に適した競技研究が進む中で、スポンジ製の軽量ボールにも硬式テニスに準じた高い品質の製品が
   選定されるようになり、幼い子供達がレクリェーションとして楽しむボール品質とは明確に分けた競技使用の方法を決定しています。
  ※このため、ボールサイズや類似した価格のボールが成人の体力や強打、強回転が繰り返される競技に適しているのか 否かの確認は必要です。

      近年のボール規定は次の通りです。
      ○ S・ST (スポンジ・スーパーテニス)競技ボール  スポンジで製造した構造で、直径9cm 重さ26〜28gのサイズ

      ○ サウンド競技ボール   スポンジ製で、内部にバウンドした際に音響の発生する部品を挿入した構造のボール
             全盲、弱視の人達の競技参加と視力の有無にこだわらない競技対戦を可能にする 直径9cm 重さ32g以下のサイズ 

 20数年前に国内にスポンジボールのショートテニスが導入された当時から、JHTF機構の研究協会は、硬式テニスボールは 体力少ない人達や
 運動機能障害のレベルが高い人達がプレーするときに 身体に無理な負担を生じることを懸念してスポンジボールの導入を図りました。
 サウンドテニスの音響部品には 盲人卓球ボールが使用されています。

 この盲人卓球ボール(※近年、サウンドテーブルテニスに改称)を サウンドテニス(※当初は視覚ハンディキャップテニスの名称)ボールの音源に採用
 した理由は、東京の身障者スポーツセンターでテニスを楽しみたいと施設の職員を相手にプラスチック製ボールの打球練習を続けていた全盲の青年を
 横浜の講習会場に招いたとき、当時、金属製の鈴を挿入したスポンジボールの打球感を体感した彼が次回に参加した際、鈴に代えて盲人卓球ボール
 を挿入したものを持ち込んだことに始まります。

 盲人卓球ボールは一般の卓球ボールの中に1mm程度の金属球を4個前後挿入したもので、この卓球ボールを弾ませないように卓球台の上を転がし、
 プレーする競技がサウンドテーブルテニス(※盲人卓球)です。 しかし、スポンジボールの中に挿入した状態でラケットで強打を繰り返すと破損する
 ことがあります。 そのため、一部の企業では卓球ボールに代えてゴルフボールに穿孔してその内部に金属球を挿入する方法を工夫して破損を防ぐ
 製品を製造しています。 まだ一長一短のある製品ですが更に良きボールが誕生することが期待されます。

 開発当初に音響部品として使用していた鈴を盲人卓球ボールに変更したのは、残響音が違いと視力障害の人達に親しまれていた盲人卓球ボールの
 音響の耳慣れでした。 しかし、このサウンドボールには競技テニス以外にも活用用途がありますので、使用内容に合わせた金属製の鈴についても
 破損を防ぐ上からもコスト面で再活用する研究も進んでいます。
 
 以上、競技設計内容の一部を 紹介しました。 競技研究開発の土台は、楽しむことの出来る対象者を 限定しないで考えることです。
 体力不足や機能障害の有無にこだわらず 楽しみたいと意思表示した人達、また、参加したいと思っていても・・具体例のない環境に置かれていて
 自らの気持ちを 他の人達に伝えられなかった人達、そのいずれの人達にも参加し 継続して楽しめるテニス環境づくりを 目指しました。

 具体例のない環境に置かれていた人達の例としては、国内では車椅子で生活していた人達やボールやコートを見る視力を失っていた人達、医療器具を
 常時、身体に取りつけられていた子供達などに対する研究と実施例は本サイト上でも紹介していますが、まだまだ多くの開発を必要とするテニス環境が
 あります。 どのようなテニス環境づくりなのか? 周囲を見回して探すことから 新しい競技開発は 始まります。