競技研究開発(1) ハンディ硬式テニス規定開発の背景と競技ルール設計

はじめに・・ ハンディキャップテニス競技開発の背景 1101s2

     競技開発 3−1
   ハンディキャップテニス競技ルールの設計内容

ハンディキャップテニス競技規定は、運動機能障害や体力不足によってテニス参加が困難な人達に対し、既存テニス規定の内容に従うという基本とは別に、障害の存在と内容に適した規定を加えています。 車椅子や杖、歩行器の競技使用を認める点などはその一例です。

このテニス競技は、競技に車椅子を使用することを基本とするテニス種目とは異なり、参加者を特定の内容に限定せず、競技参加方法に既存のテニス競技の枠を超えた内容を加えています。 なぜ、こうした内容を必要とするのか? と既存のテニス競技を楽しんでいる人達は考えるかもしれません。

実施日程  1983年 1月 16日(日)
 1983年 1月 23日(日)
会 場  藤沢西武テニススクール・平本ガーデンコート ハードコート2面
  ※神奈川県藤沢市鵠沼橘
企画・主催  ルプト・プラン連絡協議会(JHTFの旧名称)
 チーム・スポーツデスク株式会社
協賛・協力  ロール・シチュール株式会社 / 藤沢西武 / (株)クローバー
 藤沢西部テニススクール / ボランティア各位
この特別講習会は、日本テニス協会、プロテニス協会の関係者をはじめ、内容に協賛して戴いた関係スポーツ企業と民間テニススクールコートの協力で進められました。

テニス指導に当る関係者やボランティアの人達、一方、運動機能障害のハンディがある人達の中で、テニスに興味をもっていた人達が参加しましたが、いずれの人達も 初体験という状況の中で進めた講習会でした。

初めて車椅子に試乗したテニス関係者やボランティアの人達が最初に発した言葉は 「車椅子では、身体から遠いボールを打つのは無理だ・・」 との厳しい指摘がありました。 しかし、車椅子の動かし方を案内されると 「出来るんだね! 車椅子を 動かしながらは大変だけど・・ 車椅子でも出来るな!」 との感想に変わりました。
企画する人・・ 協力する人達・・ 挑戦する人達・・ みんな初めての経験でも・・ 取り組めば・・ 良き結果につながる スポーツを求めて !

テニスは、硬式テニスの歴史から始まり、長くその伝統と共に多くの人達に親しまれてきたスポーツです。 このテニス環境の中で、世界主要4大会競技などを目標にトップアスリートを目指す人達もおります。 その優れたアスリートの競技を観戦することを楽しみしている人達もおります。

楽しみ方はいろいろありますが、スポーツの魅力をもっとも実感できるのは、見聞きすることよりも 自らプレーすることの楽しさです。
プレーは参加すれば可能なことのように思われますが・・ 参加する機会も楽しむ環境も すべての人達に機会均等に設けられてはおりません。

テニスは楽しみたい人達の機会・環境を制約する小さなスポーツのひとつとは思いませんが、現実は一部の人達を対象とするスポーツに留まっています。
一般的に魅力大きいスポーツほど多くの人達が参加したく感じるものと思います。 競技人口の多いスポーツをメジャースポーツと考える人達がおります。

しかし、真のメジャースポーツは・・ 競技人口の多さではなく、誰からも親しまれるスポーツであると同時に参加の門戸が大きく開かれ、その門を通り参加するための様々な工夫や配慮があり、いろいろな社会環境、生活環境に適した方法を生み出す発想豊かな人達が活躍して発展するスポーツです。

 
紹介していますハンディキャップテニス競技の中に規定した内容は、多くの実践を通じ、様々な環境の中にいる人達と接して生み出されたものです。
 東京有明テニスの森公園を会場として延べ10年にわたる全国大会に採用した規定です。 このテニス内容の特徴を良きテニスの振興にご活用ください。

ハンディキャップテニス競技ルール
ハンディキャップテニストーナメント規則
ハンディキャップテニス総則
  
第2条  ハンディキャップテニスの内容


第1項  ハンディキャップテニスは、次の補助内容のいづれかの内容が含まれるものとする。 競技上で認める補助内容の細則については別に規定する。

       ◇身体機能、運動機能、体力などのハンディを補うための(各種)補助装具を活用する
       ◇ハンディの内容に適した競技方法を採用する
       ◇ハンディの内容に適した競技用品用具類を使用する
       ◇移動の介助や発声、聴覚のハンディを補助する活動、内容を付加する
       ◇ハンディのある人達とない人達とが一緒に競技する場合、特別ハンディ(競技ハンディ)を設定する

硬式テニスの面白さを実感し、長く親しんでいくために、参加する人達は、その体力や運動機能などに一定以上のレベルが必要です。
スポーツは一定の規定が存在することで競技が成り立ちますが、参加出来る人達が限られる大きな大会競技や記録会などは別にして、多くの人達が楽しめるスポーツづくりを進めるためにはトップレベルのアスリートが競う環境とは分けて競技工夫を図ることが大切です。

体力が少ない人達や身体に障害のある人達が楽しめる競技設計の開発が進んだ点とその競技規定の一部について、設定のポイントをご紹介します。
ここに公開しています競技ルールについて・・ 硬式テニスを主体とした競技ルール開発の取り組みは1981年に始まり、1994年で終了しています。
ハンディキャップテニス競技ルール を参照しながら、このテニスの特徴と魅力に理解を進めて戴ければ幸いです。

  ハンディキャップテニスのコート規定について
下肢に機能障害のある人達に対して、車椅子テニス競技の2パウンドルールを杖や義足の人達の競技にも採用することによって、コートのタテ方向の移動力不足を補うことが出来ましたが、コートの左右方向に俊敏に動くことがむずかしい点を補うために、ベースラインの長さを短縮しています。
  競技ボール規定について
競技参加する人達の体力や機能障害の内容に適したボールを規定しています。 硬式テニスボールの重さや打球する際の負担を軽減するためにスポンジボールを競技使用する種目を設け、視力のない人達にボールの方向や距離をパウンド音で判断の出来るサウンドボールを使用した種目を設けています。
  競技ラケット規定について
手指に障害のある人達はラケットを握ることが困難です。 ラケットを握れない人達にはテニスは無理と考えずに伸縮包帯で手首に固定することを認め、脊髄損傷や小児まひなどで両手を動かすことの出来ない人達は足首にラケットを固定してプレーすることを認めています。
ラケットは必ず手指で握ってプレーしないと無効、失格になる・・と ITF規定の中には記されてないと思いますが? ・・・
  サービスの方法について
機能障害や体力不足でサービス動作のトスが出来ない人達に対して、地上に一度パウンドさせてサービスを行うことを認めています。
車椅子や杖、歩行器を競技使用している人達はパウンドさせる動作を審判または対戦相手が認めた補助者が代行するを認めています。
  他の規定について
ハンディキャップテニス競技は、従来のテニス競技の枠を大きく超える内容が含まれています。 編集の都合で一部内容をご紹介しました。

良き視点と幅広い視野を活かす方々が、様々な視座からこのテニス内容の特徴に理解を進めますと、ご案内の内容を超えたテニスの楽しみ方を生み出す
ことが可能です。  次回は (競技開発 3−2)サウンドテニス競技について紹介して参ります。

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