楽しむこと・・ 競い合うこと・・  障害の有無にこだわらないスポーツは・・ 会場準備にも みんなで力を合わせる
サウンドテニスは 新時代の 共生スポーツ
    
 視力のない人達がサウンドテニスのコートづくりを自分達で行う方法 (資料コードso08)
 
サウンドテニスの特徴は同じ視力レベルの人達が対戦する標準コートに加え、視力レベルの異なる人達が対戦するオープンコートがあります。
国内多くの体育館や室内スポーツ施設にはバドミントンコートのラインが設定されています。
サウンドテニスコートは バドミントンコートと外形サイズを同じ数値に規定していますので、既存のコートラインを活用することが可能です。

しかし、サウンドボールは バドミントンのシャトル(※正式名称は<羽根球>シャトルコック)とは違い、大きくバウンドするために、ゲーム中に体育館などの壁に
プレイヤーが衝突する危険があります。 この危険を避けるために、ベースライン後方のスペースは広く設けることが必要です。

国内外に数多くの体育館がありますが、最も多い学校関係体育館を例にすると、施設のフロアには、バレー、バスケット、バドミントンなど数種類の競技ラインが
設定されています。 こうした競技以外のスポーツを楽しむ場合は、異なるラインが必要です。 新しいサウンドテニス競技もそのひとつです。
このコート特設は誰にでも容易に行うことが可能ですが、視力のない人達には困難と思われてきました。
しかし、視力のない人達が参加できるテニス競技の開発が進み、また 通常視力の人と全盲や弱視の人が互いに全力を尽くして対戦の出来るオープンゲームが
実現した後、次のステップは 視力に障害のある人達が 自分達の力でコート特設を進められると考え、この工夫研究が進み、実現しています。



視力のない人達が思い切り身体を移動してプレーするためには競技コート周辺の安全確保が他のテニス内容以上に必要です。
自らの視力では見えない体育館の床面にラインを特設することは大変ですが、競技規定のラインを正確に貼る方法として点字のマークを所定位置が指先の触覚で分かるように半永久の形で貼付する方法を考えました。
この貼付には施設側の理解が必要ですが盲学校施設で試みられています。 この方法によって大半のライン特設が可能ですが、一部の内容に周辺の補助を必要とします。
サウンドテニスのラインは次の3種類の長さでコート特設が出来るように規定されています。
@は610cmのベースライン、サービスラインです。 Aは500cmのサイドライン、センターライン、弱視ライン(注1)です。 Bは400cmの全盲ライン(注2)です。

(注1)弱視ラインは全盲の人と弱視の人の対戦競技と通常視力の人と弱視の人の対戦競技で使用します。
(注2)全盲ラインは全盲の人と通常視力の人の対戦競技で使用します。
ハンディキャップテニスの設計基本は・・ 障害のある人達や子供達や高齢の人達に対して・・弱者と考えた環境づくりは考えない点です。
弱者と考えて進めると限られたスケールのスポーツになります。外見から弱いと決めつけると・・ 可能なことまで不可能になります。
ひとりひとりの能力は計り知れません。 このテニスはそうした力を引き出していきます。
    
サウンドテニスを 楽しんでいます・・

晴眼者(視力のある人)や 弱視の人に勝てたときは 最高です!

私がこのテニスを知ったのは、18、9年前です。
国立リハビリテーションセンターで行われた視覚ハンディキャップテニス大会の参加がきっかけです。 当時は、テニスというスポーツは知っていたが 「飛んできたボールを打ち返すなんて・・」 と思っていたのでラケットに当ったときは、とてもうれしかったです。 この気持ちは・・全盲になった今のほうが強いと思います。
その後、何年か続けて大会に参加していました。

個人で楽しんでいた頃は、ボールが手に入らず、小さ目のスポンジボールなどで、昼休みや放課後に友達と楽しみました。 しかし、学校を卒業して以来、練習もせずに大会に参加していましたが、「これでは・・」 と思っていたときにサウンドテニスクラブを知り、入会しました。
最初は、コートづくりやネットを張り方が分からず、指導者やボランティアの人達に任せきりでした。 でも今は、いろいろと工夫され、改善したので、全盲の私達だけでも出来るようになりつつあります。

はじめの頃の練習内容は、弱視の人達同士、また、全盲の人達同士でのゲームがほとんどでしたが、参加人数が足りないときは晴眼者がアイマスクをして視力のハンディ をなくしてのゲームをしていました。

弱視と晴眼者のゲームでは、アイマスクに小さな穴を空けて視野のハンディをつけました。 しかし、この方法は私はすっごく嫌いでした。 なぜなら、テニスのキャリアがある人はサーブが打てても ラリーが続かないからです。 目隠しをしてしまっては、晴眼者は動けないためです。
この目隠しの代わりに、点数(ポイント)やバウンド数にハンディをつける方法も行いましたが、この方法では一生懸命にやっても難しかったです。 現在のゲーム方法であるコートの大きさでハンディをつけるようになってから、テニスがもっと楽しくなりました。 ラリーが続いたり、ポイントを取ったときは格別です。

なので、もっと多くの人達にこのテニスの楽しさを知ってほしいと思います。 更に、私は弱視のときと全盲になった現在を経験しているので 「見えないから・・」 といって、諦めずにどんどん体験してほしいな。 「晴眼者や弱視の人に勝てたときは 最高ですよ!」

  吉原さんの紹介と競技指導現場から・・・

この感想、意見をお寄せいただいた吉原さんは、1990年に国立身体障害者リハビリテーションセンターを会場として企画・開催した第1回視覚ハンディキャップテニス大会に お姉さんと一緒に参加しました。 当時、吉原さん姉妹は 共に弱視でした。 その後 ふたりは 次第に視力を失い、現在は視力0になっています。
弱視の頃も積極的に練習に参加していましたが、現在も熱心に練習しています。

吉原さんのメッセージにある コートサイズによる競技ハンディを適用したオープンゲームは、指導者達も しばしば 敗戦の悔しさを 味合わされています。
鋭いショットで全盲の人達よりも6倍も広いコート上の左右に大きく打ち込まれると、力加減などのできる余裕もなく、ボールコントロールが 乱れて失点します。
サービスも 競技ハンディコートの幅50cmのところに毎回コントロールすることはむずかしく、ダブルフォルトとなります。
サウンドテニスは、他のテニス競技と同じく、コンセントレーションの大切さを痛感しながらゲームを落とすこともあります。