サウンドテニス競技ルールと競技設計ポイント


サウンドテニスは 視覚ハンディキャップテニスの競技内容を バージョンアップしたテニス競技です
市民スポーツ、障害者スポーツの両面で 展開可能なテニスとして設計しています


  競技コート
競技規定 競技設計ポイント

競技コートの大きさ 13,4m × 6,1m   
ネットから 1,7mの位置に ネットと並行してサービスラインを 設定
サービスコートは サービスラインから ベースラインまでの 5m×6,1m の範囲
サイドラインから 3,05mの位置に サービスコートを 2等分するセンターラインを 設定

ネットから 1,7m に設定したサービスラインまでのエリアは アウトゾーンとする。
サービスボールがこのエリアに入るとフォルトとし 他の打球はアウトとする。

全盲の人達同士 弱視の人達同士の対戦には 標準コートを使用する。
視力レベルの異なるプレイヤーの対戦には    SO−1 コートを使用
通常視力の人と全盲の人の対戦には       SO−2 コートを使用



硬式テニス競技と異なり サウンドテニスは サービスコートをペースライン寄りに設定 ネット寄りを アウトゾーンとすることで 全盲の人達には見えないネットに接触する危険を 防ぐ設計です。
この設定により プレイヤーは対戦相手の 5m×6,1m のインコート に最初のバウンドが着地するように打球し、このコートの外に着地したボールは アウト または フォルトになります。


見えないボールを追うプレイヤーのコート内で動く範囲を必要最小限にして ラリーが続く面白さを生み出す競技設計です。

ネット近くにバウンドしたボールは ベースライン周辺にいる人達は 聴力だけで位置を確認するため 返球が難しくなります。 このため サービスコートをベースライン寄りに設計しています。




  競技ネット
競技ネットは 6,1m×0,75m の大きさ 
両端の高さ 85cm ネット中央部 75cm
ネット中央部には 幅 5cm 長さ 75cm の白色テープと 金属製の鈴を 取りつける






コート上にネットポストを固定する硬式テニスは ワイヤーでネットを張る構造ですが 移動型の軽量ネットスタンドは 布製の紐でネットを支えるため 強く張れません。 このため ネットが自然と下がることを 競技規定の高さに活用しています。 ネットの設置は 子供達から高齢の人達まで簡単にセットできることが大切です。

白色テープは硬式テニスのセンターベルトに類似し ネット中央を示します。 
練習・競技のためにも テニス指導する上でも役立ちます。  

鈴の取り付けは ネットに打球が当たった状態を 視力のない人達にも伝える役割を果たします。

  競技ボール

直径 9cm 重さ 28〜30g のスポンジ製ボールの内部に 音源部品の盲卓球ボールを
挿入したボールを使用する  競技使用のボールはすべて黄色とする。


ボールの内部に バウンドした時に音の発生する部品を挿入したボールをサウンドボールと名称し サウンドボールは、床上100cmの位置から自然落下させて 3パウンド後に床上10cm〜25cmの高さに弾むものとする。





競技ボールは 高品質スポンジボールを選定し 内部に盲卓球ボール(※サウンドテーブルテニス)を手づくりで挿入する方法で製作。 

優れた音源部品と高品質ボールの開発が進み 低価格のボールが生まれるまで この方法を採用。  手づくりは 誰でも どこの国でも 手軽に製作が可能で 消耗品であるボール費用を低く抑えることに役立ちます。

サウンドテニスは 視力のある人達はその視力を活かすことが可能ですが 音でボール位置を確認してプレーする人達の競技には ボール表面色は関係なく 市販の黄色を使用します。



  競技ラケット

視力レベル 視力の有無に関係なく 幅27cm 長さ55cm以下のラケットを使用する。
 市販品の場合 21インチサイズ または 19インチサイズの小型ラケットを使用します




サウンドテニスは 幼い子供達から体力豊かな成人まで同じサイズのラケット(※) を使用します。 グリップと重量に制約はないため 成人はグリップの太さとウエイトバランスを調整することが可能です。 

コートサイズから長いラケットの使用は不要です。 低価格のラケットは全世代で共有が可能で 幅広い普及に効果的です。


  競技方法
試合は 4ゲーム先取 または 2ゲーム先取方式で行う。
4ゲーム先取方式で 3-3 の場合 7ゲーム目の カウントの合計が 3ポイントになった時点で 相手プレイヤーとサーバーを交代し 更に 勝敗が決まらずに カウントの合計が 6ポイントになった時点で 再び サーバーを交代する。

合計 3ポイントでサーバーを交代したサービスは アドバンテージサイドから行う。
2ゲーム先取方式の試合では 3ゲーム目で 4ゲーム先取方式と同じ合計ポイントで サーバーの交代を行い 競技を行う。









サウンドテニスの特徴は 視力の有無や視力の違いにこだわらず 誰とでも競技対戦が可能です。 アイマスクやアイシェードは必要としません。 弱視の人も通常視力の人も その視力を可能な限り活かしてプレーすることを基本にしています。 全盲の人と対戦する通常視力の人や弱視の人は その視力と聴力を最大限に活かし 力加減不要のプレーで競技します。

全盲の人や弱視の人は 聴力を活かし 通常の視力の人は一般のテニス競技と同じに視力を活かします。 対戦者の競技ハンディの差は コート設計規定で調整できる競技設計です。
ゲームポイントのカウントを 従来の 15 30 40 の初心者には分かり難い方法を改めて 全世代並びに言語の異なる人達の国際競技としての発展を考えたカウント方法にしています。 

幼い子供達や言葉で表現することの難しい人達にも分かり易い  1 2 3 4  で ポイントをカウントします。 更に タイブレークの方法を単純に デュースもありません。
声に出してカウントする場合 それぞれの言語、数字表現が認められます。 その際は 5本の指で示すカウントを 相手プレイヤーに分かるように表示することが必要です。

数少ない練習・競技施設の中で 数多くの人達、子供達が楽しむ上で 競技に必要な要素はすべて取り入れながら サービスのノーレット規定を採用 また デュース不要の競技方法を設計して 効率的にゲーム進行が進む特徴を活かしています。


  サービス
サービスは 硬式テニスに準じた方法で行い サーバーは サーブ前に 「右からいきます」 または 「左からいきます」 と声を掛け レシーバーの 「ハイ」 の返答を受けた 5秒以内に 打たなくてはならない。

サービスは トスして打つ方法の他 床に 1バウンドさせて打つ方法も 認められる。







サービス方法は 現在 ブラインドテニスに名称を変えた視覚ハンディキャップテニス競技に規定した内容です。 その後 サウンドテニスの開発でバージョンアップした競技内容のひとつに・・ 
全盲の人がサービスする
際に サーバーは 必ず 「右から・・」 「左から・・」 と声掛けすることにより 間違ったサイドからサービスすることを 防ぎます。
この声掛けは 互いに見えない相手プレイヤーの位置をイメージすることに役立ちます。

対戦相手への声掛けは 弱視の人も 通常視力の人も必ず行います。 このテニス設計基本は 通常視力の人達がいない環境でも テニスを楽しめることのひとつです。 
サービスのボールをトスして打球する方法は 初心者には難しいため 床に小さくバウンドさせて打つ方法を本人の希望で選択出来ます。

バウンドさせて打つサービスは 相手と審判に声で伝えてから行うことが必要で 伝えずにサービスするとフォールトになります。


  レットについて
サーブされたボールがネットにふれてサービスコートに入った場合 そのサービスは有効として競技は継続します。

 サウンドテニス競技は すべて ノーレット方式で行う。





サービスしたボールがレットしてネット近くに着地してもアウトになります。 そのアウトゾーンを超え サービスコートに届いた打球は返球し易くなります。

このため レットしたボールを有効として競技を継続することにより ゲームの進行を早めるため ノーレット方式を採用しています。
 レットしたボールが競技に大きく影響することはありません

競技中のボールバウンド音が消えることがありますが この場合はレットとしてそのポイントをやり直します。 また ボールのバウンドがコートラインやガイドマット上でイレギュラーした場合、更に コート周囲でプレーを阻害する雑音が発生した場合も レットして そのポイントをやり直します。

  フォールトについて

視力の有無に関係なく サービスはベースラインの後方で サイドラインとセンターラインの仮想延長線の間で ベースライン後方に設置したガイドマットの一部に片足または両足を置いた状態でサービスを行う。 この規定に反して サービスを行うとフォールトとなる。

サービスを 1バウンドさせて打つ方法を 事前に審判並びに相手プレイヤーに伝えずに行うと フォールトとなる。 サービスを移動しながら行うとフォールトになる。






サービスを行う場合 ベースラインを超えてコート内に入ると フォールトと判定されます。
視力のない人には このベースラインが分からないことから プレイヤー自身が判断できるガイドマットをベースラインの後方 30cmの位置に貼付してフォールトすることを防ぐ方法を設計しました。

このガイドマットは 従来の視力関係スポーツの競技コートで使用されている ラインの下に 5mm 程度の太さのロープを ライン設定の際に置く方法に代わるものです。 

最初は 手や足で触れる触覚でベースラインの位置を判断する方法を用いていましたが サービス動作に早く入るためと同時に フォールトしない方法として採用したのは 野球のピッチャープレートと同じにガイドマットに足の一部を触れる方法に改定しました。

  プレイヤーの失点について

最初のバウンドが規定のインコート内に着地しないと失点する。
全盲、弱視の人は 3バウンド後までの打球は有効とし 他の打球は失点する。
通常視力の人は 2バウンド後と3バウンド後の打球以外は無効として失点する。
サービスを ダブルフォールトしたとき失点する。

コート外にいた全盲、弱視の人の身体に ノーバウンドで当てたプレイヤーは失点する。
なお サービスの場合は フォルトと判定される。
他の失点については 硬式テニス規定の内容に準じるものとする。




全盲、弱視の人は ボレーも含めて 3バウンド後の打球は有効とし 4バウンド後の打球はノットアップと判定されます。 通常視力の人は 4バウンド後の打球をノットアップと判定される点は同じです。

ノーバウンドと 1バウンド後の打球を無効とされる規定は 全盲、弱視の人達が次の打球に備えて移動するための僅かな時間を生み出すための設定です。

空間を移動しているボールは 全盲、弱視の人達にとって 避ける動作が困難です。 このための規定です。




  コーチングについて

競技中のプレイヤーに対する技術的、戦術的な助言や合図は コーチングとして審判から警告があり 明確な合図と判定できない場合も含め 2回の警告でプレイヤーは失格する。

プレイヤーが規定の位置以外の場所にいたり 方向感覚を失ったときに助言、誘導はコーチングではなく 衝突などの危険を防ぐための助言、介助として認められる。



全盲、弱視の人は インプレーの時間を除き 競技コートの位置やネット方向について 競技を継続するために必要な助言を周囲の人から受けることが認められます。 誘導する際に 技術的、戦略的な助言は禁じられますが 「がんばって」 などの会話は認められます。 

視力のある人達とは異なる内容が含まれるテニスですが 勝敗に影響するコーチングには厳しい判定を行うと共に 競技を安全に楽しく進めることに重点をおくテニスです。


  視力レベルの区分に伴う競技規定

 視力レベルは 次の 3クラスに区分して競技参加する。
 同一視力レベルの競技 と 視力の異なる人達の対戦競技を楽しみます。

全盲クラス 視力0の人 と 明暗は分かっても ボールを確認出来ない人
弱視クラス 動体視力のレベルが低く ボールの確認が難しい人
通常視力クラス 視力のある人 と 視力の弱い状態を眼鏡で補正出来る人

全盲・弱視の人は 3バウンドまでの打球を有効とし 通常視力の人は 2バウンド後と 3バウンド後の打球のみ有効とする。

競技参加に身障者手帳の有無を問いません。 IBSAの視力分類はありません。
但し 身障者スポーツ競技として行う 視力障害の人達のみを対象とする 視覚ハンディキャップテニス大会については 視力分類規定に従って競技します。

通常視力の人は アイマスクを装着すれば 全盲クラスの競技方法で 参加可能。







測定機器によって視力レベルの判別は可能ですが 日頃から身近な場所で楽しむためには シンプルにテニス参加できる方法が必要です。 そのために生まれたのがサウンドテニスです。 

全盲、弱視、通常視力の人達が それぞれの視力すべてを活かしてプレーできるテニスですが 視力レベルが大きく異なる人達の競技対戦を可能にした 全盲ライン、弱視ラインと呼ぶコートラインで特設した競技エリアの設計が 全盲の人と通常視力の人のシングルス対戦も可能にし 魅力多いテニス競技を生み出しています。

サウンドテニスのクラス選別は 全盲の人達の含め 弱視のレベル判定に測定機器の必要はなく ボールを追いかける動きと反応から 弱視クラスの競技方法で楽しみます。
サウンドテニスの特徴は 全盲クラスの競技コートを標準にして 弱視 → 通常視力 に進むに従い 対戦相手のコートが小さくなり 打球コントロールが厳しくなります。


視力のない人達と通常視力の人達が全力で競い合うサウンドテニスは 硬式テニスのベテランも日頃のテニス技術のすべてを投入して 全盲、弱視の人達との対戦を楽しめます。
サウンドテニスは 誰もアイマスクやアイシェードを装着する必要はなく 通常視力の人は全盲の人を対戦相手にした場合 全力のプレーをしないと勝利から遠くなります。

弱視の人達の視力レベルは様々です。 練習を重ねていくと技術もゲームレベルも向上します。 向上したレベルに適した競技参加で 競技レベルは更に伸ばすことが出来ます。
競技方法の工夫とは 有効コートスペースを 対戦相手との実力差に適した幅に調整する方法です。 

競技体験すると この競技設計の面白さが理解されます。


障害の有無に こだわらない 新しいスポーツ環境づくりのイノベーションから生まれたのが サウンドテニス競技です 


全盲の人達の視力は・・ 視力が全くなく、明暗さえ識別できない人の他に、光覚弁(こうかくべん)と称する 明暗の識別はでき、物の有無や影も分かる人、 手動弁(しゅどうべん)と称する 目の前で手を振ったときの動きがわかる人などがいます。  弱視の人達の視力は・・ 眼鏡をかけたり訓練によって視力が良くなる可能性のある医学的弱視の人と 様々な種類の目の病気によって生じた回復困難な視力障害で、盲や弱視を含めてロービジョンともいわれる社会的弱視の人達がいますが・・ 周囲の明暗によって視力の違いが生まれる人達や 床や壁などの色によってボールの判別が大きく異なるなど 弱視には様々な人達がいます。

視覚障害者スポーツは テニス競技に限らず 国際組織としてIBSA(International Blind Sports Federation) の規定基準に従い クラス区分されて 競技が行われています。
しかし サウンドテニスは こうした規定と視力検査による競技クラスを 区分することなく 実際の動きから判断する簡単な方法でクラス区分した競技方法を採用します。